あらたなる世界へ
Into the New World
（2019–2021）
【原画１点のみ】

この作品は、ひとつの物語がゆっくりと熟していく時間そのものを抱えた一枚です。


最初に筆を入れたのは2019年のこと。
その瞬間から、絵の中に確かな“はじまり”の気配を感じていました。

けれど、「まだ完成じゃないな」という感覚だけがずっと残り、
気になっていながらも、不思議と手を加えられない時期が続きました。
まるで絵が、自分のタイミングを待っていたように思います。


そして2021年。
ふと絵を見つめたとき、エネルギーが乾ききっているのを感じて、
まるで“水を欲している”ように見えました。

そっと一滴のお水を差した瞬間、
絵が息を吹き返し、瑞々しさを取り戻し、
そこから、まるで導かれるように自然と描き始めました。

最初に描いていた世界とはまったく違う方向へ、
手が勝手に動いていくような感覚でした。

わたしが描いているのに、
同時に“何かに描かされている”ようでもあり、
この作品もまた、見えない力に背中を押されるように生まれていきました。

この絵が完成するまでのあいだに、
宇宙的な創生の気配を宿した作品がいくつも生まれていました。

遥か宇宙のどこかで種が生まれ、光が咲き、銀河が芽吹く。
そんなストーリーを、1枚1枚が静かに語っていたのです。



数年後、天文学の世界では“新しい銀河が誕生した瞬間を捉えた”というニュースが話題になっていました。
宇宙のどこかで、ほんとうに“はじまり”の光が生まれている。
その事実に触れたとき、この作品のエネルギーと自然に重なるものを感じました。

いくつもの創生の物語の流れがひとつに重なり、
光の軌跡が地球へ降り立つ。
この星に、新しい未来のエネルギーを届けるように。


完成した絵は、どこか“お正月の祝い”を思わせる和の気配が漂い、
赤を中心に、希望や門出の空気をまとっています。
重厚でありながら、晴れやかで、
未来の扉が静かに開くような世界です。

どこかの宇宙の深い場所で始まった物語が、
時間とともに地球へたどり着き、
ここからまた新しい世界が芽生えていく。

この絵を前にしたとき、
あなたの中にも小さな“はじまり”が灯るような感覚があれば、

それはきっと、この作品が持つ創生の光に呼応した瞬間なのだと思います。

サイズ・素材

2019年
サイズ：F8, 455×380mm
素材：アキーラ、アクリル絵具、キャンバス

付属品

額装いたしております